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2021年4月 7日 (水)

今はGAFAがこの世の春を謳歌できる最後の時代。彼らがもたらしたものは脱力感溢れる「聖☆おにいさん」のキリストとブッタに遥かに及ばない。2021年4月7日

世界長者番付1位はアマゾン創業のジェフ・ベゾスだった。予想通りGAFAと中国が上位を独占した。しかし、彼らは賛美されるほど立派ではない。彼らからが独占した富は、世界を幸せにしていないからだ。人が求め、真に心を満たしてくれるのはお金ではなく宗教と哲学だ。例えば、死に対する心構えでは、最下層の貧民達のほうが、GAFAの経営者や中国の起業家たちより優れている。富裕階層の膨大な資産を注ぎ込んでも、死と不安は克服できない。

「モーニング・ツー」講談社の連載「聖☆おにいさん」は、NHKが映像化したものを見た。現代立川の古ぼけた木賃アパート暮らしのキリストとブッダの、脱力感溢れる日々のやりとりには、とても癒される。マンガには宗教的な裏付けがあり、茶化したものではない。だから、海外のキリスト教国や仏教国の若者たちにも高く評価されている。これは宗教的な縛りが小さく、自由な日本だから生まれたマンガだろう。米国人のコメントに「もし、米国だったら、作者や出版社は狂信的なキリスト教徒のテロにあうだろう」とあった。

幸せは健康な生活と、最小の食料とものがあれば十分だ。
真の幸せ実現に対して、GAFAはほぼ無力だ。
最新研究に、スマホを使っているグループと使っていないグループの知能指数を比較したものがある。それによると、使っていないグループの方が知能指数は高かった。この格差は、スマホの進化に比例して広がっていく。知能指数は絶対ではないが、人が考える能力を否定して安らかに生きることはとても難しい。

私はスマホは使わない主義だ。それで生活の不便を感じたことはない。しかし、スマホを愛用している若者たちに、スマホのない生活は考えられない。言い換えれば、彼らの脳みそはグーグルやアップルに支配されている。生活の全ての場面で、必ずお伺いを立てる神に近い存在だ。
その神は偽りのものだ。世界の若者たちはそれに漠然と気づいている。インターネットは飢餓感を煽り、社会不安を増長させていると感じている。

我々が窮地に追い込まれた時、ジェフ・ベゾス やビル・ゲイツやザッカーバーグに祈ったりはしない。彼らは不安の解決に対して無力だ。むしろ、安アパートで暮らす「聖☆おにいさん」の"お二人"に楽しさと安らぎを感じ、生きることへの励ましを感じる。彼らはこれからも未来永劫、絶対的な存在だ。だからこそ、マンガ「聖☆おにいさん」に、安らぎを感じるのだろう。

地球上の生命の全ては、最初に発生してから何億年も、一度も途切れることなく今の自分に続いている。自分の死は、その一つの繋がりが途切れる人生最大の事件だ。ITによって、一時的に生命の維持延長は可能だが、永遠ではない。

世界の大多数が支持している進化を否定してみると、進むべき真実が見えてくる。今のまま無批判に科学が進化すれば、10〜20年後に、必ずシンギュラリティが起きて、人間不要の世界が出現する。
すでに音楽の分野では、AIが力を発揮し始めている。例えば、新曲をAIの判断に託すると、ほぼ正確に、ヒットするか否か予想できる。情報収集がさらに充実すれば、さらに正確度は増す。
和歌短歌の類は今、AIに課題を与えれば、無限に新作を作り出す。人の役割は、感性を刺激するものを選ぶだけだ。
絵画については、AIは一番不得意な分野で、今は黎明期だ。
デザインについては、すでにAIが高度のものを作り出していて、10年後には殆どのデザイナーは失職する。
為替などのトレーダーのほとんどはAIに置き換わっている。
米国の弁護士もほとんどは、AIにデータを打ち込む単なるキーパンチャーとなった。
医療における画像診断も、AIに任せたほうが正確だ。
これから人がAIに対抗できる分野は、生きている肉体くらいしか残されていない。
近未来社会では、人はAIに飼い育てられている家畜に近い存在となる。

私は毎日、小一時間はソロキャンプの動画を眺めている。原始的で不便な生活や焚き火は、限りなく安らぐ。大自然の中に簡素なテントを張り、粗末な食事をして、寒い夜を一人で過ごす。現代人にとってこれほどの贅沢はない。
米国のアーミッシュは近代文明を拒否したキリスト教の分派だ。彼らは、自動車を拒否し、今も馬車を使って移動し、テレビ、電話、インターネットも拒否した自給自足の生活を基本にしている。近未来に対して彼らは強烈なアンチーゼを突きつけた。今、静かに広がる自然回帰は、人が家畜化される近未来社会への、ささやかな抵抗かもしれない。

現在の極度な富の偏在は、技術革新によって是正され、国家間の格差は縮まる。人は労働から解放され、AIに養われた家畜と化す。健康年齢も大幅に延びるので、生活保険として子供を大量に産むことは不要となる。百歳に達しても青春を楽しみ、恋をしてセックスを楽しむようになる。それでも死は必ず訪れるが、死の恐怖を取り除いて、多幸感を生みだす薬物が開発されているはずだ。その頃は人々は心地よい眠りに入るように死を受け入れるだろう。しかし、そのような未来でも、生きている喜びを得ることは難しく、人生の大きな課題となる。人々の多くは、安全な麻薬様の新薬に逃げ込み浸る生活をするだろう。

生産に人手が不要になったシンギュラリティ後の世界では、99%の人が失業し、残り1パーセントの超エリートがAIの監視・管理要員として残る。大量生産された物を購入できる人はいなくなり、資本家は破産する。その対策として、全国民に無条件にお金を給付するベーシングインカムが想定されている。今回のコロナ禍で、大量のお金が各家庭に給付された。それは、ベーシングインカムの予行練習だ。世界の中で日本は、その成果を上げたと評価されている。

ベーシングインカムが実現した世界では、1兆の資産があったとしても、奉仕してくれる貧乏人がいないので、富の価値は矮小化する。現代の富裕層は、富を崇め、僅かなおこぼれにあずかろうとする大勢の貧乏人たちによって支えられている。全員が豊かになって、安楽に生活できるなら、誰も富裕層に奉仕したりしない。
黄金は希少だから尊ばれている。宇宙には巨大なダイヤモンドで出来た星がある。その星でのダイヤモンドは、作物も育てない痩せたただの石くれにすぎない。富裕層の莫大な資産は、役に立たないただの石くれのダイヤモンドと同じだ。
ちなみに地球では、地下深くのマグマ中に数十万、数百万トンの炭素が、ダイヤモンドとして存在する。

豊かな未来社会では、富の価値は崩壊する。GAFAの莫大な富はピラミットのように、全盛期の遺物として眺められるだけで、人々の憧れとはならない。未来は、あらゆる職人仕事も芸術も、全てをAIが代行できる時代だ。必要なものは全て、只同然に手に入る。物欲は萎縮し、自由時間を持て余した人々は、心を満たすものを必死に模索する。
シンギュラリティ前夜の今は、大金持ちやGAFAがこの世の春を謳歌できる最後の時代だ。

成熟した世界では、個々が世界を眺める必要はない。"井の中の蛙"になって、自分の視野の範囲だけで生活すれば良い。民度が高く成熟した日本は、すでにその序曲に入りかけている。日本でデモや暴動が少ないのはその結果だ。日本は犯罪率が低く民度が高い心地よい社会だ。ただし、為政者や経済アナリストたちが「現状維持は衰退を招く」と言うように、今程度の充実では不十分かもしれない。

最近、面白い統計を見つけた。
ブログで使われている言語の調査だ。
一位は英語で37%。二位は日本語で36%と僅差だ。
世界で日本語は極めてマイナーにも関わらず、この結果は驚異的だ。

日本人は昔から、記録することと日記を書くことが特異に大好きな民族だった。
その気質は、世界の科学史に大きく寄与している。
例えば日本に「みなしご津波」の正確な日時の記録が多く残されている。「みなしご津波」とは前兆の地震がないのに起きる津波のことだ。
近年では1960年のチリ地震による三陸津波があり、被害を被った。
そのように日本の古い記録によって、南北アメリカなどで起きた大地震の日時が正確に特定されている。
日本各地に膨大に残されている桜などの開花を記した日記からは、古代からの気候変動の歴史が正確に推測できる。
日記の中で、ことに藤原定家の日記は海外の科学界でも高く評価されている。彼の明月記に記された、カニ星雲を生んだ超新星爆発の記述は、中国など海外の記録より極めて正確科学的で、世界の天文学で高く評価されている。
彼は京都で見えたオーロラについても、正確詳細に記述している。
彼は記録オタクで、天体で珍しいことが起きると、必ず陰陽師を訪ねで説明を受けていた。現代では陰陽師は呪術だけが注目されているが、彼らは科学者であり、天文学と暦作りに携わっていた。
そのように日記や記録に熱心だった日本人の識字率は、昔から世界トップだった。

日本では支配階級から農民まで、数学を学ぶことにも熱心だった。
日本各地の神社に、数学の解を記した算額が奉納されている。中には高等数学の問題を問いかけた算額がある。当時の日本人は身分に関係なく、遊びとしてその解を考えることに熱中し、答えが出ると解の算額を傍に奉納した。

明治維新によって西洋文明がいきなり入って来たと思われているが、それは違う。江戸期の医学と数学はすでに世界トップ水準だった。経済における銀行・株式・為替システムも完成していて、明治維新後は形を変えるだけですぐに機能した。ものづくりでも、例えば日本の職人は蒸気機関を一目見ただけで構造を理解し、再現することができた。

対して、アジアの他の諸国では、それらを自分のものにするのに100年近い年月を要した。
今も英語などで書かれた専門書に頼り、母国語で学ぶことができる国は少ない。
ちなみに、現代中国語の7割は日本の学者たちが新しく漢字に訳した造語だ。それは、電話、電子頭脳、素粒子、中華人民共和国などの政治、科学、芸術用語だ。

秀吉の朝鮮の役で大量の陶工が日本に連れてこられた。彼らは士分に取り立てられて重用された。
徳川幕府が成立すると、彼らの朝鮮帰国が許され、多くの陶工が帰国した。しかし、朝鮮王朝は彼らを差別冷遇し、乞食同然の生活を強いられた。その噂が日本に伝わると、帰国する陶工はいなくなって日本に土着した。
この経緯は、戦後の北朝鮮への帰還運動と酷似している。この世の楽園と賛美されて、祖国のために働こうとして帰還した者たちは冷遇され、中には殺された者もいた。その噂が日本に伝わると、帰還する者は途絶えた。そのように、あの民族は昔から今に至るまで変わらない。

戦後、南北朝鮮と中国は同じように強烈な反日教育がなされたが、対日感情は微妙に違う。その最大の原因は、日本が中国由来の文化を大切に守り、漢字を今も使っているからだ。だから、反日教育を受けた中国人でもあっても、来日して、京都や鎌倉など各地に残っている宋以前の正統な漢文化を目にすると、恩讐を超えて日本への敬意を持つようになる。
反中日本人も、古代中国の文化や思想には敬意を抱いている。
日本人は嫌いな国であっても、良いものは良いと認める合理的な考えをする。

対して、漢字を廃止しハングルに統一した南北朝鮮に対して、中国からの敬意は生まれない。
朝鮮半島では、王朝が変わる都度に前王朝の文物から建造物まで破壊し尽くした。日本併合時、伝統的な建造物や漢書や伝統文化は半島にほとんど残っていなかった。例えば韓国には和紙に対して韓紙がある。韓紙は日本併合時、農家が細々と粗末な技術を継承していた。殖産興業を奨励していた日本は、進んだ和紙の技術を彼らに伝えて広めた。そのような伝統技術の日本人による育成は、広範囲に及んでいる。

ハングルも朝鮮総督府による教育によって広められた。
しかし韓国では、日本によってハングルは禁止弾圧されたと教育されている。
漢字を廃止した結果、韓国人は漢字が多用された歴史書を、研究家を除いて、インテリでも読むことができない。現代韓国のインテリの漢字能力は日本の小学3年生程度だ。その弊害は大きく、現代韓国人はハングルで書かれた捏造歴史を盲信し、日本との軋轢は深まるばかりだ。

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画本「父は空 母は大地」から
わたしには わからない。
白い人は なぜ
煙を吐いて走る 鉄の馬のほうが
バッファローよりも 大切なのか。
わたしたの 命をつないぐために
その命をくれる バッファローよりも・・・

日本の人口は1.3億人。累計のコロナ陽性者は45.5万人。死者は8800人。
企業経営者の友人は、企業維持のためワクチンを打つと話していた。私のような社会的縛りのない者は、打つか打たないか迷うところだ。
少し嫌なワクチン関連ニュースは、英アストラゼネカ製ワクチンの接種者7人が血栓で死亡したことだ。本当にワクチンが原因なのか、それとも偶然なのか、判明するのは先のことだろう。

ワクチン接種の普及で感染者が著しく減少している英国と比べ、第4波の日本の感染者数は半分以下だ。日本はワクチン接種普及以前に、英国が成功した水準を達成している。その結果、国際機関は緊急性が小さいと判断し、日本へのワクチン供給は後回しにされている。

「コロナはいつまで続くのだろうか」と昼間のワイドショーで嘆いていた。
ウイルスは決して消えてなくならない。天然痘ウイルスが表面的に絶滅したのは極めて異例だ。長い疫学史で、人はワクチンなしで免疫を獲得し生き残ってきた。コロナウイルスもやがて、人類と共存するようになる。その時は、多くの疫学専門家は来年夏あたりと予測している。

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