ハルジオン(春紫苑)とヒメジョオン(姫女苑)の見分け方。2021年5月11日
東京北医療センターの庭のハルジオン(春紫苑)の群生が開花している。
間もなく草刈りがあるので、その前に子孫を増やすつもりだろう。
近縁にヒメジョオン(姫女苑)がある。
共に北米原産の外来種で、園芸種として大正時代に入って来たものが野生化した。
共にキク科ムカシヨモギ属の多年草。大変に強靭で、一度根付くと除去するのはとても難しい。
花弁は共に糸状で、花だけでは見分けはつかない。
しかし、識別方法は簡単だ。
ハルジオン(春紫苑)。キク科ムカシヨモギ属。
ハルジオンの花は群れて咲く。
花弁は糸状。
写真は東京北医療センター庭にて。
花期は4〜6月。
牧草地、畑、道端など、明るくて窒素分の多い場所を好んで生育する。
蕾は垂れていると図鑑にあるが、個体差があ流。
垂れているものもあれば、すっくと立っているものもある。
葉・茎・新芽・蕾などが天ぷら、お浸しなどにして食べられ、春菊のような苦味があるらしいが、私は試したことはない。
ハルジオンの葉柄は茎を巻き込むようについている。
茎葉の表面に毛が多い。
茎の断面はストローのように中空。
この個体は毛が少なかった。
標準和名はハルジオン(春紫菀) は牧野氏の命名。
植物学者の牧野富太郎氏によると、同属のヒメジョオンとの類似からハルジョオンの名も普及している。
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ヒメジョオン(姫女苑)キク科ムカシヨモギ属。
1個体あたりの花数は多くない。
花弁は糸状。
写真は、御諏訪神社下の空き地で見つけた。
赤羽では赤羽台団地が多い。
花期は6〜10月
蕾は立っていると図鑑にあるが、個体差があり、上写真のように垂れている場合もある。
ヒメジョオンの葉柄は細く茎とつながる。
茎葉は毛が少ない。
茎の断面は白い髄が詰まっている。
茎の繊維は丈夫で、ハルジオン(春紫苑)のように簡単に折れない。
両者とも花は糸状の花弁。
判別は前記のように、葉のつき方が明快に違う。
手にとって茎を折ってみれば正確に判別できる。
「穴なし姫」
と、私は覚えている。
注意、ヒメジョオン(姫女苑)とヒメシオン(姫紫苑)は同じキク科だが別属。
シオン(紫苑)キク科シオン属。
薬用植物として中国から渡来して野生化した。薬効は去痰作用と溶血作用。
草丈は1.5〜2メートルと高い。
シオン(紫苑)の小型種をヒメシオン(姫紫苑)と呼ぶ。
シオンの花の花弁は菊のように幅があり、糸状ではない。
以上、命名がとてもわかりづらい野草たちなので、漢字で覚えると間違えない。
紫苑は地方によっては野菊と呼ぶ。
野菊と呼ばれる野生のキク科の花はとても多い。
私が子供の頃、南九州の郷里の日当たりの良い斜面に、野菊が沢山咲いていたがも正式な名前はわからなかった。
伊藤左千夫の名作に「野菊の如き君なりき」がある。
それらも違う種のようだ。
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