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2022年4月 8日 (金)

一瞬で過ぎ去った、千鳥ヶ淵の桜を夢のように思い出す。2022年4月8日

数日続いた寒い雨に桜は散り始めた。花見は近所で我慢していたが、4月2日土曜、朝から暖かく晴れたので、千鳥ヶ淵へ出かけた。例年の花見は新宿御苑の後、九段下・千鳥ヶ淵へと辿る。
埼京線・新宿下車。新宿は大変な人出で、新宿御苑は入園待ちが長くなりそうなのでやめた。新宿駅は改装されて様子が変わっていた。地下鉄都営新宿線を案内板を見上げながら探したが見つからない。地上へ出て、巨大なバスターミナル周りをグルグル歩いて、やっと甲州街道に面した小さな地下鉄入口を見つけた。

歳のせいか、新宿の若者たちの喧騒が疲れるようになった。その点、千鳥ヶ淵から丸の内界隈は大人が多くて安らぐ。最近は、銀座へも足を伸ばさなくなった。
しかし、赤羽駅周辺、御徒町・アメ横、浅草などは今も好きだ。それは人間臭さの魅力が残っているからかもしれない。

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晴れていても靄がかかり、ぼんやりした青空だ。
午後4時ころ、地下鉄都営新宿線九段下で下車した。
地下通路の出店では、花見用の串団子や桜餅が飛ぶように売れていた。外人も買っている。意外に彼らには御手洗団子が人気だ。桜餅は餡子のせいで好き嫌いが分かれるようだ。
私は東京の長命寺より京の道明寺が大好きだ。始めて食べた時の感動が今も蘇る。

九段下で下車して、地上に出ると満開の桜が目に入り気分が華やいだ。
花見客は年かさの人が多く、落ち着いた雰囲気だ。カップルは少ない。老いも若きも一人で来ている。人を誘うと日時調整で花見時期を逸するので、みんな天候と開花状態をみて単独行動するのだろう。

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牛ヶ淵。右手に見える塔は高燈篭常燈明台。
スマホではなく、カメラで撮っている人が多かった。スマホカメラは色鮮やかに鮮明に撮れるが、しみじみとした深みにかける。

皇居周りで千鳥ヶ淵が美しいのは、江戸城の中、高低差が一番大きいからだ。石垣に長い歴史を感じ、水面があり、緑が多い千鳥ヶ淵は一段と桜が美しく変化に富んでいる。平地に大量の桜が植えてあるだけの桜の名所は味気なく、すぐに飽きる。

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武道館入り口の壮大な田安門を過ぎて、九段坂公園あたりからの千鳥ヶ淵。
この堀が作られた湿地帯が千鳥の形に似ていたので、そう名付けられた。

田安門あたりはアジア系の外国人が多かった。
門から中へ入ると北の丸公園と武道館。
千鳥ヶ淵からの帰りにそのコースを選ぶ人は多い。

皆、静かに花見を楽しんでいる中で大騒ぎをしているアジア系外国人10人程の若者グループがいた。Kポップスターみたいに野球帽を斜に被り、傍若無人に記念撮影に夢中だ。花見よりインスタ目的に来ているのかもしれない。日本に長く住んでいれば日本人と同化して見分けがつかないが、来日したばかりなのだろう。その後、千鳥ヶ淵展望台へ向かったが、しばらく彼らの嬌声が聞こえた。彼らと比べ、東南アジア・インド・バングラデッシュ・中東あたりからのグループは、静かに花見を楽しんでいた。

このコースは一方通行で、程よい混み方だった。
1本の桜に人だかりがしていたので見上げると、スズメたちがせっせと花を摘んでは蜜を吸い地面に落としていた。
「あら可愛い。ウグイスがたくさんいる」
傍から、50歳ほどと80歳ほどの母娘の会話が聞こえた。
「スズメですよ。昔のスズメはこんな悪戯はしなかったのに、誰かが教えたみたいですね」
余計なことと思ったけど、花を落としたりはしないウグイスの名誉のために言った。
「スズメですか」
母娘は納得し、楽しそうに見上げていた。

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千鳥ヶ淵
画像には写っていないが、右手車道向こうにインド大使館がある。

この辺りから桜はさらに増え、江戸城の古びた石垣に長い歴史を感じる。
他の都内桜の名所と違い、千鳥ヶ淵の桜は見上げるのではなく見下ろして楽しむ。だから、年寄りでも、のんびりと楽に眺められる。

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展望台からの千鳥ヶ淵
画像手前にボート乗り場。
桜と夕日に照らされたビルの対比が美しい。

前回来たのはコロナ禍前で、夜桜のライトアップがあった。
日が暮れて点灯されるとブーンと通電音がして、美しく夜桜が浮かび上がり、世界各国の言語で歓声が起きた。
今はライトアップはない。個人的には、月明かりの自然な夜桜が好きだ。

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展望台から千鳥ヶ淵。
首都高速都心環状線を遠望。

日が陰り、気温はグングン下がり始めた。
昼間は暖かかったのでTシャツで出かけた人が多く、寒そうだった。

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夕闇が迫る頃、千鳥ヶ淵から引き返した。
北の丸公園の田安門前に立つ九段の高燈篭常燈明台。
右手の通り向こうに靖国神社。

明治4年靖国神社に和洋折衷様式で建てられた。
当時、夜の燈明は東京湾・房総半島からも見えて、品川に出入りする船の灯台代わりになった。その後、靖国通りの拡幅に伴って現在地に移された。高燈籠の左に見える銅像は「子爵品川弥二郎卿像」。

このあたりで大半の人は花見を終え、地下鉄九段坂下駅へ向かう。
私は黄昏の中、和田倉門へ向かった。

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竹橋と平川門。
木造の竹橋は美しい。
傍に「皇居東御苑」の看板があった。
コロナ禍規制が取れて、日中は一般に開放されている。

この辺りまで来ると、花見客はまったくいない。
見る人もなく、ひっそりと咲く夜桜は実に美しい。

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大手門。
ここから左手後方の内堀通りを200mほど行くと、目的の和田倉噴水公園。
この辺りではさらに人通りは絶え、時折、皇居一周のランナーと出会うだけだ。

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目的の和田倉噴水公園一角のスターバックス。
環境に配慮した店舗「Greener Stores」日本1号店、皇居外苑 和田倉噴水公園店。

土曜なのに、程よく空いていた。
ゆったりとしたカウンター席から皇居の暗い木立を遠望しながら、カフェラテ税込418円を飲んだ。静かな時間が流れ、最高に心地よい。
目の前の噴水は止まっていた。
今日は仏滅。さすがに記念写真を撮るウエディグドレスのカップルはいない。
大安だと、近所のホテルなどで結婚式を済ませたカップルが記念撮影のため列をなしている。

30分ほど休んで帰路に着いた。やや暖かめの服装で来たのは正解だった。前を行く薄着のカップルが寒そうだった。
以前なら、この次は銀座へ向かう。しかし、最近は銀座の人混みが嫌になった。行かなくなった最大の原因は、コロナ禍によって旧知の画廊のほとんどが閉廊してしまったからだ。それに加え、老境に入って静かさを好むようになったからかもしれない。

おまけ 佐藤しのぶ「荒城の月」
文字列をクリクックすると動画が開く。惜しい人をなくした。聞くたびに残念に思う。千鳥ヶ淵で花見しながら、繰り返しこの曲が脳裏に浮かんだ。

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