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2022年10月12日 (水)

高画質の電子書籍「風はいつも見守っていた」は民俗学分類で柳田国男と折口信夫の間の5位だった。2022年10月12日


これまでの20年間、作品を作っては出版社に精力的に売り込みを続けたが、ことごとく敗退した。今、発表し続けている作品群は、積み上げられた私の残骸みたいなものだ。今、命の残り少なさを思うようになり、それらに光を当てようと決意した。

新作電子書籍「風はいつも見守っていた」の画像は高画質で、電子書籍大嫌いな人たちからも賛辞をうけている。
ちなみに、Amazon電子書籍民族学部門での売上は、柳田国男と折口信夫の間に挟まれた5位。教育学、受験関係でも10位以内。前作の「おじいちゃんのバス停」は「ちびまるこちゃん」や「妖怪大図鑑」などと競っていた。そこに両作品の違いが見える。

10月11日から15日までの5日間、電子書籍「風はいつも見守っていた」と「おじいちゃんのバス停」を無料にした。
Kindleの無料電子書籍用ソフトがあればそれで、なければアマゾンからKindle.appをダウンロードして、見ることができる。

今回の電子書籍版「風はいつも見守っていた」の画像は高画質で、デイスプレーとの相性が実に良い。スマホよりタブレット、タブレットより大型ディスプレーと大きくなると感動が増す。この感動は紙の本では得られないものだ。

文章も修正してグレードアップさせた。内容は老人を主人公にしているが、老荘思想を基にした明るい寓話だ。そしてシンプルな人生哲学のファンタジーでもある。登場するのは、八百万の神みたいな風の化身のシャボン玉。彼は偉いのか、あざといのか、子供なのか分からない変な存在。この物語には、学校推薦図書みたいな抹香臭い教訓はない。真面目な教育者が目をむきそうな「何も考えず、ぼんやり生きれば幸せになる」が主題だ。

10日月曜に「風はいつも見守っていた」のKindleペーパーバック版が届いた。
封筒を開けると、盛大に赤被りした表紙が目に問ひ込んで来た。さらに、本文画像も暗くて暗部の形が見えないほどだ。このような色の変調は、セピアを基調とした私の全作品ではよく起きることだ。セピア調の印刷はとても難しい。それで偽造防止のために、お札はセピア色にしているほどだ。ちなみに、昔の印刷屋さんは、腕試しにお札を印刷していた。

Amazon Kindle出版印刷は、すぐに自分で何度でも修正ができる点がとても素晴らしい。昔は、版元と製版屋さんに何度も何度も頭を下げて、色校正をやってもらった。それでも、期待した修正は得られなくて、印刷に関わる都度、ストレスが溜まった。

私が関わった絵本で一番売れたのはパロル舎の「父は空 母は大地」だ。
深夜、「父は空 母は大地」の原稿を電話で作家の寮美千子氏から読んでもらった時、鳥肌がたつほど感動した。そして、絵を一気に描き上げた。ものづくりは惚れ込まなければいいものはできない。

「父は空 母は大地」の初校正が出た時も、強烈に青被りしていてびっくりした。それから、色校正をめぐって版元のパロル舎との大バトルが始まった。
「篠崎のヤツめ、言いたい放題言いやがって。これは美術印刷じゃないんだ。もう出版中止だ」
パロル舎の社長はいきり立っていた。
当時、私はお金を持っていた。
「自腹を切ってでも、気にいるまで色校正を続ける」
社長にタンカを切って、さらに大揉めになった。
それからは色校正が出る都度、クレームの嵐で、製版業者からは散々恨まれた。

結局は驚異の10回も色校正をゴリ押しして、絵本が完成したのはオームサリン事件の朝だった。
地下鉄丸の内線本郷三丁目駅で下車すると、構内にはサリンを洗い流した水がまだ溜まっていた。あの日の電車の静寂は忘れられない。私は資料が入った紙袋を下げていたが、車内でガサッと音を立てると、乗客たち一斉に、恐怖が混ざった冷たい視線が私に集中した。

パロル舎は本郷の安木賃アパート1室にあった。
私が入ると、社長を始め編集員一同が拍手して迎えてくれた。
「良い本ができました」とみんなからねぎらわれた。

それからは、大手新聞が絵本「父は空 母は大地」を大人の書評欄で取り上げてくれた。
マスコミ各社にも引っ張りだこになって、快進撃がはじまった。
振り返ると「良い本だから絶対に妥協しない」との決意と苦労があったからヒットした。

しかしその後、ゴリ押しをやめ、版元や印刷屋の言いなりに大人の対応をしてしまった。
それでは良い本ができるはずはなく、ヒットから遠ざかってしまった。

だから、今回の「風はいつも見守っていた」のペーパーバック版は絶対に妥協しない決意だ。
いい本ができれば、どの出版形態でもヒットすると確信している。それで、10日から11日朝まで、ぶっ続けで表紙の赤被りの修正、本文画像の明度をあげること、文章の小さな修正をして、朝7時にデータをアップした。Kindle出版の対応スピード驚異的だ。午後には反映されて再出版がなされた。

赤被りの本を買っていただいた方には申し訳ない。しかし、もしこの本がヒットすれば、大変な貴重本を手にしていることになる。
どこに幸運が転がっているかは分からない。
修正したことが分かるように、裏表紙のローマ字の名前の末尾に、小さな星印を一個入れてある。さらに修正したら、星印を一個づつ増やす。

前回の「おじいちゃんのバス停」で、表紙の色調を明るくした修正時、裏表紙のローマ字の名前が「Shinozak Masaki」と「i」が抜けていたので修正した。「愛」が抜けているのはまずい。こちらは「i」が抜けているのが貴重本となる。

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