« 日に2回の短い散歩と、納豆入り玉ねぎ大根おろしで逆流性食道炎と坐骨神経痛が完治。2022年12月4日 | トップページ | あけましておめでとうございます。2023年1月1日 »

2022年12月28日 (水)

画材を買いに新宿世界堂。帰りに喫茶店で若い美人をスケッチした。2022年12月27日

画用紙が少なくなったので、新宿世界堂へ出かけた。通常は近い池袋世界堂を使っているが、求めているのは40年前に買った紙で、今は製造廃止になっている。長い間、代わりの紙を探しているが、適切な紙が見つからない。それで今日は、多く種類を揃えている新宿世界堂へ出かけた。

新宿は久しぶりだ。丸の内あたりと比べると、化粧の濃い女の子が多い。
歳を取ったせいか、新宿は落ち着かない。やはり、上野から銀座にかけた地域が私の肌に合う。

新宿世界堂は大きいだけに在庫の種類が多い。すぐに厚みのあるケント紙で好みに近い紙が見つかった。値段は安かったので半切サイズを100枚買った。画材が残り少なくなると、大切に丁寧に描こうとして制作意欲が低下し、作品が窮屈になる。それは私に限ったことではなく、同業者に共通の感覚だ。巨匠ピカソでさえ、若い頃は絵が売れると大量に画材を買い込んでいた。木彫家の平櫛田中は晩年、100年分の木材を買い込んだ。美術評論家はそれを聞いて「気宇壮大だ」と褒め称えていた。しかし、本心は絵描きと同じ心理だろう。彼もまたストレスなく自由に制作に打ち込みたかったので、使いきれないほど、大量に木材を買い込んだのだろう。彼の死後は、弟子たちが遺品の木材を喜んで使ってくれたはずだ。

新しく買ったケント紙は初めて使うので、早く試したかった。
世界堂隣のコヒーのチエーン店カフェ・ベローチェに入った。ここは安い上、いつも空席がある。荷物が置きやすい、壁際の長い席についた。早速、包紙の一部を破いて、ケント紙への鉛筆の描き心地を試した。ツルツルしているのに意外に鉛筆ののりが良い。消しゴムで消しても表面がまったく毛羽立たず、まっさらと同じように鉛筆がのる。これは良い買い物だった。

安堵して、のんびりとコーヒーを飲んだ。
斜め前のテーブルは若い女性4人組だ。楽しそうにおしゃべりをしている。その中の一人が際立って美しい。スケッチブックはないが、見本用にA5の紙を持参していたので、それに彼女を描いた。喫茶店でコーヒーを飲みながら、スケッチしている時間は最高に楽しい。30分ほどで描きあげ帰り支度をした。しかし、何となく絵を彼女に見せたくなった。そのまま帰るのはもったいない。彼女たちのテーブルへ行って「綺麗だったので、描いたよ」とスケッチを見せた。
彼女は絵をくれると思ったようだ。嬉しそうに顔を紅潮させた。 意外に純真な子だ。しかし未完成なので、プレゼントはできない。
「あげないよ、見せただけ」
つれなく言うと「家に飾りたいですよね」と、他の女の子たちが言った。
私はスキャンして、パソコンに取り込みたいと思っていた。そう話すと彼女は「スマホに撮っても良いですか」と聞いた。当然、快諾した。彼女の日本語はどことなく外国人のような感じがする。「外国の方」と聞くと「Miki」とスケッチの下にサインしてくれた。
「名前はガチガチの日本風なのよね」
他の女の子たちが、楽しそうにはやしたてた。

M_5_20230118221801


このスケッチをあげてしまうと、あとで、未完成の部分を思い出して後悔することになるので、プレゼントしなかったのは正解だ。
自席に戻って、絵をリュックにしまい帰路に着いた。
夜の新宿は外国人旅行者が増えていた。のんびりと 楽しげな旅行者たちの表情を眺められるようになって、本当に良かった。新宿が少し嫌だと書いたが、彼女と出会ったおかげで「新宿も悪くないな」と思い始めていた。しかし「名刺か何かあげた方が良かったかな」と後悔も少しあった。

昔は喫茶店で、近くのテーブルに可愛い女の子のグループがいると、スケッチしてプレゼントした。
すぐに仲良くなって、若い子たちを引き連れ、飲みに行ったりした。
今は、声をかけても、今回のようにあっさり帰る。
歳を取ったからではない。
貧乏になったからだ。


先日、YouTubeで外人観光客に大人気の四国奥祖谷の民宿を紹介していた。
泊めるのは一組だけだ。その動画での宿泊客はドイツ人科学者の二人組だった。
その宿は、昔の奥祖谷の生活そのままで、泊まり客は薪割りや、風呂をわかしたり、カマドでご飯炊きの体験をする。それが、外国人観光客には大人気だ。
その動画で、薪割りを担当したドイツ人は、暗くなっても熱心に薪割りを続けていた。
「なぜか、この昔の生活を体験すると、とても癒される」と二人は話していた。

その動画を見ながら、小さな子供の頃、薪割りをしたことを思い出した。今のようにプロパンガスなどない時代だ。どの家庭でも、かまどでご飯を炊き、風呂は薪で沸かしていた。小さな子供の薪割りの道具は、オノではなくナタを使った。先に突起がついていて、子供が失敗しても刃を損なったり、怪我したりしない安全な道具だった。

M_1_20221228000001

その点、大上段に構えて振り下ろすオノは危険なので、親は子供に使わせなかった。
動画で、薪割りや薪の炎を見ていると、とても懐かしく癒された。

最近、終末へのカウトダウンが聞こえるようになった。母は私の歳から20年生きたが、それは私が完璧な世話をしていたからだ。我が家は完璧な老人家族だ。私と姉、どちらが先に逝くか分からない。しかし、残された方は寂しいだろう。それは他人の死でも同じだ。嫌だった人でも亡くなると、寂しく感じるようになった。それもまた、老いの一つの姿だ。

Ma_3

Ma_4

Ma_5

Mas

|

« 日に2回の短い散歩と、納豆入り玉ねぎ大根おろしで逆流性食道炎と坐骨神経痛が完治。2022年12月4日 | トップページ | あけましておめでとうございます。2023年1月1日 »