AGIにより牧歌的テクノロジー賛歌は終焉に近づき、米国ではホワイトカラーの熾烈な選別が始まった。2023年6月19日
先日、銭湯女湯で盗撮していた60代女性が逮捕された。
彼女は引きこもりの息子から常時暴力を受けていて、盗撮は息子から強要されての犯行だった。
一次的には、息子が楽しみ、その後、動画を通販するのが目的だったようだ。この事件で、引きこもりにも勤労意欲があったことが面白い。引きこもりでも金は必要だったようだ。今は通販でなんでも買える。美味しいもの、パソコンやその周辺機器、漫画、ファッションに興味ないとしても、着心地の良い高級トレーナーは欲しいだろう。
これからは引きこもりでも、スポーツ、散歩、旅行、何でも遠隔で楽しめるようになる。
去年、東京パラリンピックで来日したフランスの障害者担当副大臣がロボットカフェを視察して感動していた。そのカフェは在宅の障害者たちが分身ロボットを使って接客する先進的なものだ。そのシステムが拡張すれば、障害者がロボット選手を操作してサッカーなどの激しいスポーツすら楽しむことができる。
日本はそのような人間拡張の研究が進んでいる。
ボディシェアリング「BodySharing」とは、動きや感覚をデジタル化し、バーチャルアバター・ロボット・他者などと相互に共有するシステムのことだ。 人の動作でアプリケーションが働き、VR・AR空間や遠隔で起きた出来事・触感・重量感などが操作者にフィードバックされる。通信距離15000キロまでなら時間差を感じずスムースに操作できる。そうなれば、人工衛星まで行かなくても、無重力下での実験が地上から操作できるようになる。
その一方、AGIの出現で牧歌的なテクノロジー賛歌は風前の灯だ。
これからの社会は自然な進化に委ねず、人為的、強制的に人間を復権させる必要がある。
例えば、AIに対して税金をかける方法がある。
AIを使う方がコストが嵩むなら、企業は安上がりの人間を使うようになるからだ。
しかし、業種によっての温度差はある。
例えば、農業漁業など食品生産。核融合炉などのエネルギー供給。物流。それらはAIに任せた方が合理的だろう。
医療は微妙で、患者との心の繋がりは人に任せ、治療はAIが主体になるとか役割分担が起きる。
職人仕事は完全に人が復権しそうだ。
先日、桐ダンスの再生を取り上げた番組があった。100年使って真っ黒に汚れた桐ダンスが職人の手にかかると新品に蘇った。これは将来はAIにもできる仕事だが、AIに高額課税することで、人限定の仕事に変化することになる。
職人仕事を保全すれば、世界の自然は守られる。4.5年で壊れてゴミになるような合板を糊付けした家具を作るのは間違っている。なぜなら、木材の浪費によって熱帯雨林などが破壊されているからだ。
もし、AIの進化に任せていたら、10年いや5年後あたりにはAIが人のできることの大半を行うことになり、ベーシックインカムにより人は家畜化されてしまう。
現在、チャットGPTを試みたことがある人は日本全人口の3割ほどで、ヘビーにやっている人は数%に過ぎない。
米国ではホワイトカラーはAIに仕事を奪われ始めて、求人は激減し、現職のリストラが始まっている。それでも失業率が低くなっているのは、サービス業などの求人が活発だからだ。
米国では、とんでもない所得格差が起き始めている。マンハッタンなどの中心部の家賃平均は65万円。それに引きずられて低所得層住居も高騰し、低家賃住宅は劣化の一途だ。
食費、電力料金高騰もすごい。欧米では生活苦からの万引きと生活保護が激増している。警察は凶悪犯罪に対応するために、75000円以下の被害は店側に解決を求めている。そのことで、ますます治安は悪化してしまった。
英国ではパブやレストランが大量に閉店し始めた。
その一方、日本の株価は高騰し、世界で一人勝ちの状態だ。
最近、岡田斗司夫氏の好きな言葉。
「親に学校行事などに来てほしいと言う子供は嫌いだ」
親が学校参観に来てくれなかったと荒れる子供をテーマにしたドラマがよくある。私もそのようなドラマは大嫌いだ。
私が子供の頃、学校参観に親が来て欲しいと願っている子供などいなかった。なぜなら、昔は親が学校に来て良いことは何もなかった。先生から子供たちの悪戯を聞かされた親から、説教されるに決まっていたからだ。
今、戦争をテーマにした絵本を描いている。
それに必要なので米軍資料を読んでいる。それによると日本の歴史教科書が「日本は本土爆撃するB29に手も足も出なかった」としているのは真っ赤な嘘だ。B29は3000機近く爆撃に参加したが、その1割は迎撃され3000人の搭乗員が戦死している。
硫黄島が陥落し、米軍護衛機がつくようになってからの被害は減少したが、危険な作戦であることには変わりなく、B29全機が被弾している。ただし、極めて頑丈な爆撃機なので、穴が空いたくらいでは墜落しなかった。
日本は本土決戦のために戦闘機を温存して迎撃しなくなったが、日本の地上砲火は熾烈だった。殊に大戦に末期に設置されたレーダー連携の巨大高射砲は射高2万mの高性能だった。ただし設置されたのは二箇所だけで、米軍はその地域を避けて東京都心に侵入した。
沖縄戦も前半では、日本軍はゲリラ戦で頑強に抵抗し、米軍部隊がいくつか全滅したほどだ。しかし、大本営の無謀な反攻命令によって日本軍は無駄な大被害を受け衰退した。もし大本営の命令がなく、現地部隊のゲリラ戦に任せていたら米軍の沖縄占領は難しかっただろう。
広島原爆投下の日時は、日本の優秀な通信傍受機関が事前に察知して大本営はに報告したが無視された。
その経緯は以前、NHK特番で取り上げていた。番組によると、テニアン島を出て広島に向かったエノラゲイの飛行コース近くを九州へ向かう新鋭戦闘機の紫電改がいた。
戦後、それを知った紫電改の操縦士は「原爆を積んだB29を知らせてもらったら、体当たりしてでも阻止していた」と号泣して悔しがっていた。
ドイツの敗戦と決定的に違うのは、大戦末期の日本は本土決戦のため大量の武器、航空機、人員を保持していたことだ。
そのことを破奥していた米軍は、本土決戦により250万の米軍死者がでると試算し、原爆投下を決意したのは半分だけ事実だ。
私は戦争には強く反対している。歴史は捏造すべきではなく、正しく知った上での反戦だと思っている。
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