梅雨明けの強烈な陽光に郷里漁師町の魚と機械油の匂いが蘇った。2023年7月10日-2
「T氏像」個人蔵。郷里の友人のスケッチを基に描いた。彼は老後、長年やりたかった果物作りを始めた。今朝も、彼が送ってきた大きくて芳醇なメロンを食べた。
今日は梅雨明けの酷暑。
その強烈な陽光に、郷里の漁師町の魚と機械油の匂いを感じた。
そう言えば帰郷した時、それらの匂いが消えていたことが寂しかった。
子供の頃は、町中に魚が干してあり、空には魚のアラを狙うカラスとトンビの大群が舞っていた。
ハシボソカラスは隣町の虚空蔵島の神の使いとして、漁師たちに大切に守られていた。
しかし今、それらの大群は消え、雨が落ちてきそうな暗い曇空をトンビが一羽舞っているだけだった。
炎天のベランダに、久しぶりに梅雨の湿気を含んだ布団を干しながら、ふいに漁師町の匂いが蘇った。
想い出には力がある。
仕事に忙殺されて疲れた体に、新しい力が湧き上がるのを感じた。
洗濯物を 干す指先に 夏の雲
| 固定リンク