黒猫トムの思い出。2023年7月12日-4
母が元気な頃、毎日家の中を覗いて行くトムと言う名の黒猫がいた。
窓辺で編み物などしている母が、生きているかどうか確かめに来ていたようだ。
彼はガラス戸の桟に足をかけ、ビックリするほど長く体を伸ばして透明ガラスの部分から部屋を目をクルクルさせて覗いた。
魔が抜けたようなとぼけた顔で、とても可愛いかった。
時々、母はトムを家に入れて可愛がった。
でもトムは、仏壇の線香立ての灰をかき混ぜたり、母の毛糸玉に戯れたり、悪戯が大好きだった。
母に叱られてもトムは平気だった。
一度、豆絞りのエプロンをトムにつけて母は喜んでいた。
トムは迷惑顔だったし飼い主にも悪いので、豆絞りは私が外した。
我が家には、そのような他所の飼い猫が、毎日遊びに来ていた。
だから、ネコ好きの母は退屈しなかった。
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