「娘は戦場で生まれた」2023年8月6日
「娘は戦場で生まれた=原題:For Sama」戦地シリアでの記録映像。
2019年カンヌ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞。
シリアのジャーナリスト志望大学生ワアドは、医師をめざすハザムと結婚して娘サマを出産した。
アレッポの反政府地区にあった九つの病院のうち八つはロシア空軍の空爆で破壊されていた。
ワアドはイスラム風に描いてあるが、彼女は普段はベールを被らない洋装のイスラム教徒だ。
幼いサマは手術室の負傷者の血の匂いの中で、哺乳瓶を口に笑顔を見せていた。硝煙の臭いにも激しい砲撃にも動じず、天使のような笑顔をふりまいていた。
奇しくも今日は広島原爆の日。
広島は10年前、エッセイでの最優秀賞授賞のため広島アリーナを訪れた。
授賞式の後、原爆ドームを訪ねた。
鉄骨で補強されたドームはキリストのイバラの冠のように見えた。
その時、原爆の映像がフラッシュバックした。
失われた膨大な命が心に迫り、物見遊山気分は消えた。
遊びの予定はキャンセルして、そのまま帰京した。
| 固定リンク