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2024年2月 7日 (水)

雪の朝 紅さす君をまぼろしに 2024年2月7日

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「雪の朝 紅さす君をまぼろしに」

赤羽駅ホームで女友達に別れを告げていた人。
抜けるような白肌に紅ルージュ。
舞妓さんに通じる白ファンデーションに様式美を感じた。
東京にはハッとするほど美しい人がいる。
先日東京駅丸の内口で、美しい着物姿の人が旅行カバンを足元に置いて誰かを待っていた。
絵は彼女と赤羽駅のホームにいた人を合成して描いた。
「待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ 今宵は月も出ぬそうな 」
描きながら口ずさんでいた。

大正ロマンは懐かしい。
母が大正三年生まれで、大正時代の思い出を聞きながら育ったからだ。
大正は軍人が背広姿で通勤していたほど、リベラルな気風があった。
しかし、関東大震災を境に戦争のきな臭さが日本を覆い始めた。

先日投稿した三島由紀夫原作「豊穣の海-春の雪」はその時代を舞台にしていた。
三島由紀夫は私より20年と2日年上だ。
1970年45歳の彼は陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決した。
その直後、彼の遺書となった長編「豊饒の海」を買った。
すぐに全4巻を一気に読んだが感銘はなかった。

時代は大正初期。
貴族階級で幼馴染の主人公清顕と聡子は、望めば祝福されて結婚できた。
しかし清顕は聡子の愛に冷ややかな対応をして、聡子を宮家との婚約へ追い込んでしまった。
その時、清顕は聡子を心から愛していたことに気づいた。
二人は禁じられた恋へ走り、聡子は妊娠してしまった。
皇族との婚約をそのような形で破棄してしまっては両家は破綻に追い込まれる。
聡子は無理に堕胎させられ、出家してしまった。

老境に入った先日、第一巻「春の雪」の映画版を見た。
2時間半の大作で、変な改変はなく原作に近かった。
25歳の私が「春の雪」を否定したのは、主人公清顕の自分勝手さが許せなかったからだ。
老境の今は違う。
清顕は身勝手だが「身捨つるほどの恋」が必要だったのだろう。
その未熟さのために堕胎させられ出家してしまった聡子に殉じ、清顕は死へ突き進んでしまった。

「春の雪」は清顕の死を起点に構成されている。
そこに近松門左衛門の心中ものと共通点を感じる。
心中ものは一直線に死へ向かって進行する。
死を避ける転機があっても、男女は運命に引きずられるように死へ向かってしまう。
「春の雪」は日本の伝統を踏襲した作品だ。
だから悲恋は素晴らしい。
例えば「ロミオとジュリエット」にて、両家が仲直りして二人が祝福されて結婚したとしたら・・
中年太りのロミオとジュリエットなど誰も見たくはないだろう。

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