町の八百屋の戦略。2024年5月12日

散歩コースに昔ながらの八百屋がある。親父は70代半ば。コロナ前に店は三階建てのビルに改築した。十分に蓄えがあるので、半ば道楽のように商売を続けている。

すぐ近くに安売りで定評がある大きなスーパーがある。八百屋で買い物をした時「ウチの値段はスーパーには負けないぞ」と親父が自慢していた。
その秘密は後日、分かった。

ある日、私が安売りスーパーで買い物していると、親父が激安輸入オクラを大量に買い占めていた。違う日には激安納豆を大量に買い物籠に放り込んでいた。
彼の秘密は、安売りスーパーで激安商品を仕入れて、掛け値なしで売っていたから同じ値にできた訳だ。
おかげで近隣の年寄りは、スーパーまで行かないで済むのでとても助かっている。
彼の八百屋は、ボランティアみたいなものだ。

スーパーにしてみれば買ってくれるお客で問題はない。目玉商品なら買い入れ数を制限すれば良いだけのことだ。
親父は利益は出ないが、町商店のプライドはそれで保てた。その上、スーパーの安値に対抗しているとの宣伝効果も得られた。なかなか強かな商売だと思った。
最近その親父を、毎日のようにスーパーで見かける。
どうやら毎朝、青果市場まで出かけるのが面倒になったようだ。

そのスーパーは日用品のバッタ物も扱っていて、近くのホームセンターよりかなりの激安で売っている。先日は洗濯洗剤をホームセンターの半値で売っていた。

スーパーの食品は全て、定価の何割引と明示しているので買いやすい。今、定期的に買っているオーツ麦は1キロ289円と通販の激安品より安い。それもバッタ物で在庫がなくなれば買えなくなるだろう。

友人に話すと「あんな赤ちゃんのゲロみたいな物、よく食えるな」とバカにしていた。自分でも不思議なのだが、そのゲロみたいなオートミールが大好物だ。

嗜好がそうなったのは多分、子供の頃に見た米国映画で、うまそうに食っていたのに影響されたのだろう。
最近のオーツ麦の食べ方は水に入れてレンジてチンして、糊状に変化したものを、高菜をおかずに食べている。この食べ方の評判も極めて悪い。

しかし、グルテンフリーでコレステロールを吸着し排出させるので健康効果は極めて高い。それが好物なのだから、健康維持には都合の良い嗜好だと思っている。
ちなみにオーツ麦は家畜の飼料で、人が食べるようになったのは近年のことだ。

姉はコロナ前まで、新橋で小さな小料理屋を任されていた。
今回は、その店の看板用に描いた絵だ。
銀座あたりで遊んだ帰りは、新橋へ回って姉の店で食事をしていた。
店はオーナーの事情で、異業種に変わった。
新橋は競争が激しい地域なので、何をやっても維持は大変だろう。