EVと映像の世紀カラシニコフ。2024年5月21日
数年前、中国の電池・EVメーカー名のBYDを間違えるので、この絵を描いた。今、このメーカの経営はかなり危うい。
EVについては怪しい情報が飛び回っている。たとえば、一早く市場を独占しないと、後からは参入できない。
それは間違っている。
それが当てはまるのは、徐々に進化して来た従来型の自動車だけだ。
EVは無名企業でも革新的な電池を実用化したら一瞬で世界を制覇してしまう。
BYDは今は世界最大のEVメーカーだが、来年、トヨタが様々な革新的なEVを実用化するので、その地位はかなり危うい。
BYDもよく承知していて、せっせと技術盗用に励んでいるようだ。
昨夜の映像の世紀はカラシニコフだった。
それは自動歩兵銃AK-47の開発者名で、その銃の代名詞になった。
AK47は興味深い自動小銃だ。
その機構は、部品同士に徹底的に遊びをつくることで、故障しにくくした。
当時のソ連兵はものの扱いが粗雑で、兵器をすぐに壊してしまうのが軍の悩みだった。
カラシニコフは専門家ではなかったが、大戦経験やロシア人の雑な性格を考慮して、独学であの傑作を作り上げた。
彼は後年インタビューに「銃が人を殺すのではなく、人が人を殺す」と答えている。
昨夜の映像の世紀の多く視聴者たちも、その言葉を免罪符にして見入ったようだ。
カラシニコフはモザンビークの国旗に使われているほど、国によっては神聖化されている自動小銃だ。
ベトナム戦争時、米軍は新開発の軽くて精密で高価な自動小銃M16を使っていた。
新素材を多用し、カラシニコフより1キロ軽く、射程も長く命中精度も高かった。
欠点は泥水や砂などが入ると簡単に故障し暴発したりした。その結果、戦場でM16が故障したために反撃できず、ベトコンのカラシニコフに撃たれ、戦死した米兵はかなりいる。
その点、カラシニコフは極めて頑丈で故障しなかった。
昔見た動画では、ゲリラの指導教官が銃弾を靴で踏んで曲げ、それを1週間泥水につけて錆が浮いているドロドロのAK-47に詰めて実射してみせた。
カラシニコフの命中精度は悪いが、近接戦ならかなりの効果があった。
しかも、部品数が少なく組み立てや操作が簡単で、子供で短時間で操作方法を覚えた。
映像の世紀にも、泥水に浸かっていたカラシニコフを汚れたまま発射してみせるソ連時代の画像があった。
職業軍人に聞くと、携帯する武器が制限されている場合は「躊躇せずAK-47を選ぶ」と答える。
米軍のM16は実践向きではなかった。
泥水が少し入ったために故障して、反撃できずに戦死した米兵は無念だっただろう。
だからか、番組では鹵獲したカラシニコフを愛用する米兵の映像があった。
その苦い経験から米国もカラシニコフを生産したことがある。
今は世界各国でカラシニコフが作られている。
一部地域では、AK-47はモデルガンよりも安い1丁10ドルで買えるようだ。
カラシニコフの大きな遊びを設けた構造には昔から興味があった。
機械は精密に作れば良いものではない。
適切な遊びを設けないと故障する。
その適切さは経験知によって得られるものだ。
毒ガスを撒いた某宗教団体の優秀な理系技術者たちはカラシニコフ密造に失敗している。
対して、アフガニスタンあたりの無学な武器製造職人たちは手作りで簡単にカラシニコフを作ってしまう。それは経験知の違いによるものだろう。
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