「嫌なことだけでなく、良いことも早く忘れた方が良い」と荘子は言っていた。2024年9月5日
タマ「ポチのやつ、新しい腹掛けを自慢ばかりしている」
小春じい「タマも褒めてやれ。そうすればすぐに飽きる」
嫌なことは早く忘れたい。
荘子は「良いことであっても早く忘れたが良い」と言っている。
母が生きていた昔のことだ。母は銀行での出来事を話した。
順番が来るのを待っていると、知らない老人が話しかけて来た。
「この小説は息子が書きました。芥川賞の候補にもなっています」
老人は手にした文芸誌を開いて母に作品を示した。
「素晴らしいですね。本当によございました」
母が心から褒めると、老人は嬉しそうに銀行を出て行った。
母は彼の気持ちは親としてとてもよく分かると言っていた。
老人は、初めは近所親戚知人と本を贈り息子の自慢をしていただろう。
本に掲載された作品を見れば、みんなは褒めそやすがすぐに飽きる。
そのうち誰も相手にしてくれなくなる。それで知らない人にまで本を見せて回っていたのだろう。
良い出来事でも執着すると煩悩に変わり苦しむ。
恋愛も同じだ。情愛の快楽に執着すると、嫉妬したり邪推したりして苦しむ。
「心は固(まこと)に死灰のごとくならしむべし」荘子
良いことも悪いこともさっさと燃やし尽くして灰にしてしまうのが良い。
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