子供の頃まで、放浪の日本画家をよく見かけた。2024年9月14日
コロナ前、水墨画を始めようと4種の和紙500枚ずつ買い入れて、この絵を試し描きした。
しかし墨が乾くと紙が波打ち、スキャンすると凹凸が汚く写ってしまった。
この画像はホトショップを使い、時間をかけて手作業で平坦化した。
私はデータ化が目的なので、水墨画はこの1枚だけで止めた。
和紙ボードなら波打たないが高額なので気楽に描けない。
パネルに水張りする方法もあるが、墨の収縮を完全に防ぐのは無理だった。
住宅の構造上、現代日本の絵画需要はとても小さい。
欧米住宅は絵を飾るようにできているので需要は大きい。
欧州で絵描きをしている知人から聞いた話しだ。
彼が住まいの下水修理工事をすると工費が高額になった。
値切ることもできず困惑していると、業者は代金代わりに絵でも良いと提案した。
彼としては願ったり叶ったりで喜んで絵で支払った。
そのように、欧米の住宅は普通の家庭でも、廊下、居間、食堂、寝室と絵を飾る場所がいくらでもある。
だから下水工事の職人さんは絵を欲しがった訳だ。
しかし、日本の一般住宅では絵を飾る壁を見つけるのが大変だ。
そのような訳で日本での絵の需要は小さい。
しかし、昔の日本ではしっかりした絵画市場があった。
なぜなら、ちょっとした旧家なら掛け軸が数十本は必要だったからだ。
家の主人はその中から季節・行事に合わせて絵を選んで床間に飾った。
だから掛け軸の需要はとても旺盛だった。
私が子供の頃は放浪する日本画家がいた。
お寺の軒下など借りて掛け軸用の絵を描いていた。
彼らはその地方の素封家を数年毎に訪ねて絵を受注し、そのように現地で描いていた。
私が出会ったのは水墨画なので野外の軒下で描くことができたが、道具の多い色絵は座敷を借りて描いていたのだろう。
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