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2024年10月 7日 (月)

人生の最期に聴きたい曲は故佐藤しのぶのアニーローリーだ。2024年9月7日

M

18年前の母の主治医黒須さん。
母を看取ってもらうつもりでいたが、40そこそこで急死された。
看護婦をされていた奥さんはその2週間前に亡くなっている。
後には小学生の男の子が一人残された。


それから黒須医院前を通ると、空になった診察室で「どうして誰もいなくなったのだろう」と呆然としている黒須先生の姿が幻覚のように浮かんだ。
それから何年も、ビル屋上の病院看板は自動点灯したままだった。

寒空に浮かぶ主のいない看板は虚しいが、ビルの家主が長期入院中で点灯装置を切る者がいなかった。
その家主もそこで昔、内科医院を開業していた。
その診療所跡は今に至るまで空室のままだ。
持ち主は誰にも貸す気はないようだ。

孤独な老いと若い死。
近未来を絵にしたような寒々とした光景であった。
母はそれから5年後に在宅で、私に看取られ恵まれた最期を迎えた。

以前、ドキュメンタリーで在宅看取りをやっていた。
そのおじいさんの希望で、亡くなる時、家族たちが「故郷」を合唱した。
人の感覚の中で、聴覚は心臓が止まっても機能している。
胸に迫るとてもいい最期だった。


私ならどの曲にするか考えた。
熟考の末、故佐藤しのぶ「アニーローリー」がいいと思った。
ふくよかに胸を強調したブルーグレーのドレスで、臨終間近な私の傍で歌ってもらえたら最高の最期だ。
それは動画なら安上がりだ。

そのような看取りの需要はかなりありそうな気がする。

M_0hana

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