映画「この森で天使はバスを降りた」と「青いナムジル」モンゴルの馬頭琴伝説。2024年10月8日
「この森で、天使はバスを降りた The Spitfire Grill」1996年サンダンス映画祭・観客賞・米国映画・監督リー・デヴィッド・ズロトフ。日本ではシアタークリエにてミュージカル2009年5月初演。
小さな町の軽食カフェ・スピットファイアグリルで働き始めた前科のある若い女性の物語。
ある夜、彼女は人生の再出発のためにその町にトランク一つでバスを降りた。彼女パーシーは無愛想だが心優しいハナが経営する軽食カフェで給仕として働いた。
カフェの常連客たちはパーシーの過去に疑いの目を向けていた。殊にハナの甥のネイハムは疑っていた。
しかし、ネイハムの妻シェルビーは親切な好奇心を抱いた。
ハナは不慮の事故で寝たきりになった。
しかし、不器用なパーシーは失敗ばかり。
見かねたシェルビーが手伝い始めて、パーシーと二人でカフェの切り盛りをした。
ハナは店を彼女たちに任せた。
町の若い男ジョーはパーシーに一目惚れしたりと、山間の町で様々な確執が繰り返された。そして題名の通り、パーシーは住民たちの傷ついた心を癒やして行った。
厚生省の小冊子の表紙に使われた。
「青いナムジル・草原で馬を走らせる若いナムジル」パロル舎・樹下美術館蔵。モンゴルの馬頭琴伝説。
夏の草原をナムジルは涼を求めて雲の影を追い、自由に馬を走らせた。
モンゴル人学者にそのような子供時代を聞いた。
雲の影を追って走るとは、素晴らしい逸話だと思った。
彼は東海大学で教えていたが、日本人に帰化した。
「青いナムジル・朝を迎えた二人」
西域へ出征したナムジルと西域の美女との悲恋。夜明け前、男は眠り女は空を見上げる。その瞳に別れへの不安が過る。
この絵に森田童子「G線上にひとり」を重ねてみた。
・・夏草の上に寝そべって、まぶしい孤独な夢が広がる
一人目覚めて、あくびして涙ふいた 夏の空は飛行機雲・・
この時代に飛行機雲はないが、恋は時代を超えてかさなる。
いつの世も恋は孤独でまぶしい。
どんなに愛し合っていても、恋は一人で抱えて行くことになる。
だから、かけがえがない伝説になるのかもしれない。
ナムジルの出征は終わり故郷へ帰った。
女は天馬ジョノンハルをナムジルのもとへよこし、毎夜呼び寄せて逢瀬をかさねた。
ナムジルを愛した金持ちの娘は女に嫉妬した。
そして、天馬ジョノンハルの翼を切り落とした。
ジョノンハルは死に馬頭琴へ変わった。
ナムジルは西方の恋人と会えなくなり、老いていった。
私見だが、何故か金持ちの娘が私は好きだ。
現実には激しい情熱に振り回されそうだが、そこが私には魅力がある。
嫉妬した金持ちの娘はジョノンハルを殺し、天馬は馬頭琴に変わった。
ナムジルは馬頭琴を弾きながら恋人を想い、老いて行った。
天馬ジョノンハルの尻尾が変形して弦と弓に変わった。
馬頭琴のひき方は特殊で、弦を爪の甲で押し上げて音程を決め弓でひく。
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