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2024年11月 2日 (土)

「エリアン」の経緯を描いた神話的SF「プロメテウス」2024年11月2日

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画像は私の立体作品「大地蘇生のための呼吸器」と北方の荒野を合成した。
リドリー・スコット監督「プロメテウス」2012年米国。同監督作品「エリアン」が生まれた経緯を描いた神話的SF。宇宙を舞台にした人類誕生の壮大な神話でもある。

太古の荒々しく寂しい地球に巨大な円盤が現れ、修行僧のような宇宙人が地上に降り立った。彼は苦悩の表情で黒い液体を飲み干した。すると彼の体は粉粉に散って激流に落ちて行った。

水中でその一つ一つが細胞分裂して成長し人が生まれた。
「神は自らに似せて人を創った」旧約聖書創世記の一節が作品の骨格になっている。

舞台は近未来。
考古学者たちが35000年昔の洞窟で古代人のメッセージを発見した。人は宇宙から来た創造主によって創られたとの仮説を、彼らはその壁画で確信した。
仮説に共鳴する大企業の経営者は莫大な資金を投じて、宇宙人探査チームを作り、人類創造の解明のために宇宙へ旅立った。

経営者は高齢で余命幾ばくもない。
彼は宇宙人が救世主だと信じていた。
・・創造主なら自分を死から救ってくれるかもしれない。そして、何故人は生まれ死ぬのか。死後の世界はあるのか、その答えを教えてくれるはずだ・・

彼は巨大な探査船に密かに乗り込み同行した。
チームと老経営者はアンドロイドが管理する休眠装置の中で眠り続け、創造主の惑星に到着した。

大昔、その惑星の創造主たちは、自ら創った人類を失敗作と知り、人類を抹消するための生物兵器を作った。しかし生物兵器は宇宙人にも寄生して、彼らの殆どを死滅させた。
しかし、一人だけが生き残った。
彼は地球へ向かうようにセットされた巨大な宇宙船で数千年間眠り続けていた。

惑星にやって来た探査チームは、彼を目覚めさせてしまった。
彼は経営者とそのメンバーを一瞬で殺してしまい、人類抹殺のために宇宙船を地球へ発進させた。

抹殺を決意したのは、人類がアンドロイドの創造主になっていたからだ。
宇宙人は人類が文明の負の連鎖を始めたことを知って絶望し、人類絶滅を決意した。

だが、人類が絶滅させられると知った船長は、創造主の宇宙船を探査船で自爆攻撃して撃墜させた。「エリアン」の冒頭、霧の中に浮かび上がった鎌形の不思議な宇宙船がそれだ。

宇宙人の惑星に到達する前に、隊員の女性考古学者は生物兵器を身ごもっていた。彼女は自ら、母体から生物兵器の幼体を摘出した。
幼体は短時間で成長し、撃墜された宇宙船でなおも生き残っていた宇宙人に寄生して破壊した。

エリアンはそのように、人類創造神話の世界から生まれた。
幻想的な宇宙。惑星の嵐のシーン。
冒頭の巨大な円盤型宇宙船が厚い雲の中へ去って行くシーンは美しい。
意味深い作品にも関わらず、ヒットはしなかった。

M_0hana

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