AI社会では昭和が復活するかもしれない。2024年12月10日
AIに対する世間の熱狂は表面上は収まった。
しかし、実際は見えないところで猛スピードで進化している。
しかし、AIがいくら優秀でも、棚を吊る作業をロボットにさせていてはコストがかかりすぎる。
下水管の修理、配線工事、屋根の水漏れの修理、散髪、いずれも人間が行う方が低コストだ。
だからこれからは、親は子供に「勉強しろ」とは言わず「腕に技術をつけろ」と言うようになると予測している。
知識は生きるために大切なもので、楽にお金を稼ぐためだけのものではない。未来でも個々の知識の重要性は変わらないはずだ。
これからの社会では、ゲームとか、おもちゃとか、役に立たない遊びが主役になる予感がする。
スポーツなどその最たるものだ。
郊外で原始的なキャンプ生活とか、薪でご飯を炊くような不便な生活も素晴らしい。
客と対話しながら衣服を仕上げる、昔風の仕立て屋も再評価されそうだ。
料理人はマニュアル化されたチェーン店ではロボットが取り入れられるが、高級レストランや寿司屋では人間の料理人が尊重されるはずだ。
ペットも強い。
以前YouTubeで、AI関連のベンチャー企業を取り上げているのを見た。
若い創立者は得々として、AIの優秀さを語っていたが、その瀟洒な社屋を可愛いムク犬がトコトコ歩いていた。
「これは会社のペットです」
彼は楽しそうにムク犬のことを話した。
「なるほど、人の能力を超えることを考えているエンジニアでも、何一つ仕事をせず、ただ寝てドックフードを食べるだけのムク犬が重要だと認めているのか」
と、ペットが寛ぐ環境に、本当の快適な社会が垣間見えた。
これからは、アナログだと馬鹿にされていた労働形態が復権しそうだ。
例えば、決済にハンコをもらいに行くとか、
新橋の裏通りで、飲みながら仕事の話をするとか、
昭和のサラリーマンが復活しそうな予感がする。
すでに、パソコンに精通した若者のスキルは薄れ始めた。
まったくパソコンを扱えないアナログおじさんでも、AIは懇切丁寧に対応してくれる。
昭和育ちのおじさんたちの天敵WordとExcelは、AIが優秀な専属スタッフとして手伝ってくれる。
これから職場で役に立つスキルは、昔ながらの付き合い上手なおじさんだと思っている。
ITを活用した経済合理性を追求した欧米型の社会は豊かさを手にしたが、心は荒廃してしまった。
その中で日本は、経済合理性を後回しにした結果、30年間停滞したままだ。しかし、心は荒廃せず、快適な社会を世界に先駆けて作り上げている。
街へ出ると多くの海外観光客を見かける。
彼らは一様にのんびりと笑顔をたたえて歩いている。
「道路にはゴミがなく、とても綺麗。日本人はとても優しくて親切。衛生状態も清潔で食べ物も美味しくて安い。トイレは異次元に素晴らしい。犯罪はほとんどなく、女子供でも安心して夜道を歩ける」
彼らの多くは楽しそうに語っている。
識者がどんなに日本の停滞を揶揄しても、現金やFAXが生き残っているアナログな日本にこそ、人間が密かに目指している社会あるのかもしれない。
そういうわけで、AGIが実現したら、先に述べたような昭和の人間臭さが復権する予感がある。
この30年、一貫してデジタル人間がもてはやされてきた。
しかしこれからは、人間臭さがキーポイントとなると予感している。
どんなにAIが進化しても、愛とか恋とか、人に真の幸福感を与えることは、かなり難しい。
画像生成AIについては、その登場より15年前あたりからイラストレーターの仕事は激減し絶滅危惧種になっている。
だから、イラスト界への影響は限定的で、3%の需要が1%に落ち込むくらいのものだ。
元々低迷していた絵描きの世界も似たようなものだ。
こちらもまた人間臭くコツコツと、絵具を筆で塗り続けて行けば、何とかなると思っている。
画像、生命倫理学会冊子のための装丁画「爽風」
生成AIが進化しても、この感覚を表現するのは難しい。
その理由は、描画中の取捨選択は、かなり人間臭い作業だからだ。
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